悪縁を断つ寺 鎌八幡 5

どこにも行けない金曜日の深夜、

一人で蒸し暑い夜を過ごすには

もう少し涼しくなる必要がありそうですね。

全て本当のお話。

そう、実話なのです。


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┃『悪縁を断つ寺 鎌八幡 5』(ライターFT)
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 刑期を終え、出所した修さんは生まれ故郷である宮崎に戻り、自分の犯した罪の償いをしようと考えていた。愛する人を殺害されてしまい、怒りに任せて自分が取った行動を後悔していた修さん。

 何の罪もないMの息子と母親の行方をまず探し、謝罪しなければならない。そう考えていた修さんは獄中にいる時、病気で亡くなった母親の保険金があった。その保険金の全てをMの息子と母親に渡そうと考えていた。

 修さん自身も肝臓癌という病にかかってしまった。酒が好きだった修さん、刑務所にいる時から不眠、軽い幻覚等に悩まされていたようで、自分が犯してしまった事件と何かしらの因果関係があると見ていた。

 大金を持って再び大阪に戻ってきた修さん。
修さんを慕い、ずっと手紙を送り続けてくれた友人も行方知れずだった。友人を探す為、元いた建設会社の職人に友人の行方を聞いたのだけれど、だれも行方を知る者はいない。もちろんMの息子と母親の行方も分からずじまい。

 取りあえず、大阪で住む場所を決めなくてはならない。
幸い、母が残してくれた保険金がある、それで安いアパートを借りた。

 それから一週間もしないある日の事、相変わらず不眠が酷く、熟睡出来ていない修さん、毎晩おかしな夢を見ていた。あの夢だった。

 小汚い少年と薄気味の悪い老婆が出てくる夢だった。
何をする訳でもない、ただその二人がじっと寝ている修さんの枕元に立ち、じっと見つめていると言う夢。



 ある時、アパートにいると、天井からパキッ、パキッ、っと大きな音がする。おかしいと思った修さんは押入れの天井裏をこじ開け、懐中電灯で屋根裏を調べた。

 ネズミやイタチがいたずらしているのかと思っていたが何もない。
よく天井裏を調べてみると、何やら大きな袋のような物が中央付近に釘で四隅を打ちつけられ、さらに中央に特大の五寸釘が打ち込まれていた。



 不思議に思った修さんはその袋に打ち込まれた釘を丁寧に抜き、袋の中を開いてみた。

 中には人の形をした紙の人形があった。

 特大の五寸釘が打ち込まれていた個所はちょうど肝臓あたりだった。
しかもその裏に書かれていた文字を見て修さんは驚愕した。


 山内修二(仮名)


 そう書かれていた。

 驚いた修さんはその袋を持って近くのお寺に持って行った。

 そのお寺では処理し切れないとの事で、大阪市内の玉造にあるお寺を紹介されたのだ。

 そのお寺と言うのが ”鎌八幡” だったのだ。

 全てを住職に打ち明けた修さん。
これはただごとでは無いと感じた鎌八幡の住職はこのお寺で供養し、悪縁を断ち切る儀式を住職に薦められた。

 儀式は壮絶を極めたようだ。

 袋に入れられていた人の形をした紙は ”紙人形(かみひとかた)“形代(かたしろ)とも呼ばれる、人の身代りとされる呪物で、日本古来からある呪いの方法だったようだ。



 古来、紙はとても貴重とされていたようで「紙」は「神」に通ずる事から、人々は紙に霊威が篭っていると考えたようだ。住職によるとかなり念が強く籠った方法との事だった。

 本来は悪縁を絶つために使用されるおまじないに使用するらしいが、これを呪いに使用するのはとても危険な行為だと住職は話してくれた。

 





 続く

 

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