悪縁を断つ寺 鎌八幡 3

さて、3回目です。

暑い!暑過ぎますね。

どこにも行けない金曜日の深夜、

一人で蒸し暑い夜を過ごすには

もう少し涼しくなる必要がありそうですね。

全て本当のお話。

そう、実話なのです。

今回からは知り合いの職人のおっちゃんのエピソードになります。

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┃『悪縁を断つ寺 鎌八幡 3』(ライターFT)
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縁切り寺である、鎌八幡で祈祷をして貰った帰り、車中で ”職人のおっちゃん” がとんでもない告白をし始めた!


『今から30年くらい前の事や、わしな、人殺した事あるんや』

 助手席で話を聞いていたオレは驚きを隠せなかった。
普段は気の良い職人のおっちゃん、真面目で几帳面、腕の良い大工らしく、仕事は完璧にこなす。職人のおっちゃんこと、山内修二(仮名)通称、修さん61歳は過去の話をポツリポツリと運転しながら話し始めた。

『わしが24の時や、宮崎から出てきたばっかりの時や、大工の仕事を見つけるために大阪に出てきたんや』

 
 話を聞くとこう言うことだった。


 当時、師事していた大工の棟梁に進められ、大阪の業者に呼ばれ大阪に出てきた修さん。大工は中学を卒業してすぐに職人の道を選んだようだ。大阪に出てきてしばらくすると、努めていた会社が2年後に倒産し、修さんは路頭に迷った。もちろん給料は出ない。

 大阪の事情がよくわからなった修さん、同僚の大工と一緒に、西成のセンターに通い、その日暮らしの生活を数か月送っていた。酒好きな修さんにしてみれば大工仕事と酒さえあれば良かったようだ。

/3西成あいりん労働者センターレポート


 ある時、センターで朝早く、日雇いの仕事を貰うために並んでいると、建設会社の手配師から声がかかった。数日間、同じ現場で仕事があるらしく、これから朝早くセンターに並ばずに、その建設会社の寮に入る事も決まり、修さんはやっと日雇い生活から解放される事を喜んだようだ。

 元々、腕の良い大工職人(宮大工)だったので、修さんはその建設会社から大事にされていたようだ。

 1年位経った時、行き付けのスナックのホステスさんと仲良くなった修さん、順調に交際も進み、そろそろ会社の寮から出て独立も考えていた矢先の事だった。

 行きつけのスナックは建設会社の同僚や専務達もよく行っているスナックで、どうやらこのスナックのママと言うのが、ここの建設会社の社長の愛人だったようだ。このスナックでホステスとして働いていた女性が修さんといい仲になった。

 ポッチャリして色白で修さんだけでなく、職人連中はこのホステスにみんなが夢中だったようだ。その中でも修さんが人気の彼女をGetしたようで周りからは羨ましがられていた。ただ一人の職人を除いては・・・

 その職人と言うのが、修さんに激しくライバル心を持っており、宮大工出身の腕の良い修さんに仕事でも色々とぶつかり合っていた。元々、この建設会社にいる棟梁の一番弟子で、そこそこ腕も良かったようだけど、宮大工出身の修さんには敵わない。しかもこの建設会社の棟梁も入社してすぐの修さんの仕事ぶりに惚れこみ、絶大な信頼をされていた。

 一番弟子であるその職人はいい気持ちがしない。それどころか修さんを逆恨みするようになっていった。この建設会社では修さんとその職人は自然と犬猿の仲になっていった。

 修さんも行きつけのスナックのホステスと一緒に住み始めて1週間程した夜、夜中の2時には帰ってくるはずの彼女が3時になっても帰ってこない。朝まで待っても帰ってこない。店に迎えに行っても店は営業を終えており誰もいない。心配になった修さんは辺りを探しまくった。夜も明けて来たので一旦、アパートに戻り、心配だったが仕事もあるので会社に向かった。

 会社に近づくと、会社の倉庫(道具等を保管している場所)の前が人だかりになっている。しかも警官まで数人いる。修さんの脳裏に嫌な予感がよぎった。

 まさか!

 すでに会社に来ている職人連中や、会社の専務、社長まで警官と話をしている。気が気でなかった修さんは仲の良い職人を捕まえ、何があったか聞いた。

『一体、何の騒ぎや!』

 すると同僚の職人は言いづらそうに言葉にならない。修さんは半ば怒り気味に同僚の胸ぐらを掴み問いただした。

『リョウコちゃんが、リョウコちゃんが殺されたんや・・・』

 リョウコちゃんと言うのは修さんとよい仲になったホステス。
帰ってこないはずだ。同僚や警官が遮る手を振りほどきながら倉庫に入る修さん、まだそこに愛する女がいる。

 かけられた毛布をめくると、そこには死体となったリョウコが凄惨な姿を晒していた。

 顔面は腫れあがり、衣服は引き裂かれ、足の付け根部分からは多量の出血が見られた。すぐに抱き起そうとするも警官に止められ引き離される修さん。

『誰や!誰がこんな酷い事をしたんや!誰や!』

 その場で叫ぶ修さんだったが、すでに言葉を語らなくなったリョウコ。周りの職人と警官に押さえつけられたまま、修さんは叫び続けた!







次回へ続く!
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