処刑場跡について3

 蒸し暑い日が続きます。

 ちょっぴり涼しくなれたら、

 友人の体験談です。



(ライターFT)

処刑場跡について3


 何が何だか理解不能な友人は看護師に家に電話して欲しいと伝え電話番号を伝えました。看護師はすぐに連絡を取りますと友人に言い、病室を出て行きました。

 現実感がない感覚に襲われ、自分の気持ちを整理する為昨日の出来事を思い返した友人。

 仕事が遅くなり千日前付近でタクシーを拾い、それほど走っていないのに三重県の山の中を走っていた。そんなことが現実にあるのだろうか?目が覚めている今でさえ現実感がない。友人は自分のほっぺたをつねったり自分の頬をビンタしたり気を確かに保とうとしましたがやはり現実感がない。

 ベッドから降り窓の外を眺めながらあることを思い出した。



 カバン、書類だ!

 今日の会議でその書類はどんなことをしてももって行かなければならない。大切なことを思い出した友人は病室にカバンがないか探したがカバンはない。

 焦った友人はナースコールを押し看護師を呼んだ。






 ベッドに腰掛けた瞬間、気が遠くなるような感覚に襲われた。

 胸から喉にかけて何ともいえない気持ち悪さがこみ上げてきた。

 すっぱいような唾液も込み上げてきた。

 「吐くかも知れない」

 座っていられず思わずベッドに横になった瞬間意識が途絶えた。

 




 友人が気が付くとそこはタクシーの中だった。

 周りを見渡すとアムザが見える。アムザとは千日前のビッグカメラ横にある24時間営業のサウナだ。事態が飲み込めない友人は、今、タクシーの中にいる。カバンはどうしたんだろう?友人は膝の上にあるカバンがあるのを確かめ中身を確かめた。

 ちゃんと書類もある。

 無くしているものは何もない。

 今までの出来事は一体何だったろう?

 夢なのか?

 そう考えた友人は運転手に声をかけた。

 「運転手さん、私、今、寝てました?」

 運転手はゆっくりと友人の方を向き答えた。

 

 「お客さん、夢を見ていたんですね。病院に入っている夢。あそこは精神病院なんですよ、三重県にある」



 友人はその場にいることが耐えられなかった。

 度胸があるはずの空手2段の友人は気が付くとタクシーのドアを開け、叫びながら真夜中の千日前を全速力で走っていた。手にはしっかりカバンを持ちながら松屋町筋まで走ったそうです。





 友人の話はこれでおしまいなんですが、その時の状況を詳しく聞いております。

 タクシーに乗り込み、寝てしまった友人、どれくらいの時間が経ったのか聞きました。すると2,3分らしいのです。

 その2,3分の間で、そんな夢を見たそうです。

 そして入院していた病院の名前まで覚えていたんです。

 ネットで調べてみましたがその三重県の病院は実在する病院で友人はそんな病院には行ったことがないとのことでした。

 そしてなぜタクシーの運転手が友人の夢の内容を知っていたのか?

 色々と友人と話をしましたがやはり場所ではないかな、ということでした。

 タクシーを降りたあとは言葉にならない叫び声を上げながら全速力で走ったそうです。

 処刑場跡だからこんな体験をしたのかも知れません。

 友人の不思議な体験談です。
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